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「撮影現場は男子校のノリ。気づけば “グルーヴ”が生まれていました」 :映画『スペシャルズ』 内田英治監督インタビュー

  • SHOKO NAGANO
  • 3月30日
  • 読了時間: 11分

人気アイドルグループ Snow Man の佐久間大介が心優しき元殺し屋役で初単独主演をつとめる、映画『スペシャルズ』(『THE SPECIALS』)が4月12日、シカゴ「第20回アジアン・ポップアップ・シネマ」の大トリを飾る。原案・脚本・監督は、『ミッドナイトスワン』『ナイトフラワー』など“真夜中シリーズ”で高い評価を誇る内田英治。クセ者揃いの殺し屋たちには、名優・椎名桔平を筆頭に、中本悠太(NCT)、青柳翔、小沢仁志など、昭和~平成を彩る“デコボコ”なキャスト陣が勢ぞろいする。

 

スペシャルズ
  (C)2026「スペシャルズ」フィルムパートナーズ

『スペシャルズ』(英語タイトル『The Specials』)

 ● あらすじ

過去に「ダンス経験がある!? ⋯」という理由で集められた、伝説の殺し屋・ダイヤら“孤高のプロの殺し屋たち”。裏社会のトップ・本条会のクセ者親分が必ず訪れるダンス大会での暗殺をもくろみ、チームを組んで大会の出場を目指すことになるが、実はまるでド素人で仕方なくダンス教室に通い始めるも、ことごとく問題を起こして破門される。そこにダイヤの勤める児童養護施設のダンス少女・明香が救いの手を差し伸べ、最初はいがみ合っていた殺し屋たちも次第にダンスの魅力に目覚め、いつしか<スペシャルな5人>のチームへと。ダンスも成長を遂げ、本気でダンス大会への情熱を燃やし、あとは暗殺ミッションに挑むだけであったが⋯。

(『スペシャルズ』公式サイト:https://eiga-specials.com/より)


 

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● APUC主催者の推評

『ミッドナイトスワン』やNetflix作品『全裸監督』といった記憶に残る作品で知られる内田英治監督が、『スペシャルズ』でまたもや愉快な驚きを届けてくれた。この型破りで痛快な映画は、ポップダンスグループを結成してある暗殺を計画する殺し屋たちの物語で、熱狂的なポップダンスとスリリングなアクションが、時には同じシーンで融合する。誰にでも起こりうる予期せぬ人生のセカンドチャンスや、我々のなかに潜む“ダンサー”への賛歌にもなっている。

― Sophia Wong Boccio


● 上映情報

上映日:4月12日 日曜日

時間:14:30(開場は14:00)

内田英治監督によるスペシャルトークがあります。

上映場所:AMC NEWCITY 14(1500 N Clybourn Ave c301, Chicago)

 



『スペシャルズ』:内田英治監督インタビュー

 

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― 日本での公開(3月6日)以降の反響はいかがですか?


おかげさまで、本当にいろいろな層のお客さんに見ていただいているようです。僕はできれば同年代くらいから年配の男性に見てもらいたいと思っていましたけど、実際にはもちろん(主演が)佐久間くんということもあって10代から20代の女性が中心で、家族連れも多かったですね。平日にはひとりで見に来ている年配の男性も見かけました。


― 「ポルト国際映画祭」(ポルトガル)での上映(3月5日)が海外プレミアでしたが、反応はいかがでしたか?


意外にもすごく反応が良くて、逆にびっくりしました。3分に1回ぐらいは笑いがどっと起きて、終わったあともエンドロール中すっとみんな騒いでいたくらいの盛り上がりでしたね。結果「観客賞」をいただきました。落ち目の殺し屋のおじさまたちがなんだか一生懸命頑張る、という部分に共感してくれたのだと思います。それからめちゃ受けていたのが“指ハート”。ヨーロッパの人は知らなかったから面白がって、みんなであとからこれ(指ハート)やって一緒に写真を撮りました。


― 劇中、シティ・ポップや昭和歌謡など懐かしい曲がたくさん出てくるのが昭和世代にはたまりません。 監督自らの選曲ですか?


全部、僕が好きな懐かしい曲を選びました。最近の10代20代は親世代の音楽を聴いていて昭和歌謡曲にやたら詳しいので、すんなりと違和感なく受け入れられたんじゃないかな。


 

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“A面とB面”を交互に行き来する

― これまでの『ミッドナイトスワン』や『ナイトフラワー』といった作品とは全く違った“振り幅”の映画ですね。


僕はいわゆる映画少年だったので、子どもの頃に見たアメリカの娯楽映画はもちろん、アートハウス系(メッセージ性や芸術性の強い映画)もひっくるめて全ジャンルが好きなんです。だから監督になったら全ジャンルやりたいと思っていました。自分の中ではA面、B面みたいな感じです。A面は『ナイトフラワー』のようなヒューマンドラマで、B面は中高生時代に好きだったアクションやスリラーやホラー。A面をやったあとはB面でリフレッシュする、みたいな。『スペシャルズ』もそこから生まれました。撮影中に別の企画が頭の中で混在するときもありますが、その方がリフレッシュできますね。(A面の製作で)煮詰まった時に「スペシャルズの銃撃シーンどうしようかな」とか、交互に行き来するのがリフレッシュになるんです。


― 監督は脚本から手掛ける完全オリジナルにこだわっているとお聞きします。これからもオリジナルの作品を貫いていきたい気持ちがありますか?


めちゃめちゃあります。だた、オリジナルにこだわっているというわけではないですし、原作ものをやったこともあるんですよ。でも、原作ものだと原作者に嫉妬しちゃうんですよね。なんでこんな面白いストーリー考えやがって、と思っちゃう(笑)。僕はそれをただ映像化しているだけにすぎないのか、と。それに僕はインディーズ映画をずっとやっていて、原作ものをやらせてもらえない時期に映画が撮れるのはオリジナルだけだった。なので、その灯は灯していきたい。そうじゃないともう映画が作れなくなっちゃいますから。


― オリジナルのアイデアはどこから、どのように生まれるのですか?


ふとしたときにぱっとひらめく感じ、例えば頭の中で1分以内に説明できる2行くらいのプロットが、ぱっと浮かぶんです。脚本にしたらつまらなかったのでやめたものがほとんどですが、生き残るアイデアもある。『ナイトフラワー』も『スペシャルズ』もそういう中から生まれた映画です。スペシャルズも最初は「警察がダンス」というアイデアだったのをヤクザに変えて、最後は前から考えていた「仕事にあぶれた殺し屋」というアイデアとガッチャンコさせました。



役者の“初期衝動”に委ねることで生まれる化学反応

― 監督はキャスティングにおいて“予期せぬ”起用方法をされますがその真意は?


僕は役者さんに芝居を予測して役作りをしてこられるのが苦手なんです。本人が予測しないことをやっていただいたときの“初期衝動”の顔を見るのが好きなので、そういう意外なキャスティングが多いのかもしれないですね。たとえば、今回の明香ちゃん(役)のようにお芝居の経験のない人を連れてきたとき、むしろその相手役の芝居が変化するんです。役者は役者同士の芝居に慣れているので、いきなり素人が目の前に立つとどうしていいかわからなくなる、それが逆にすごくいいわけです。予測する芝居が出てこない、それを見るのが好きなんです。“素人さん状態”の演技は一回しかないから、その人生一回こっきりの貴重な時間をありがたく使わせていただいているということですね。


― 今回の”ニコリともしない”佐久間さんもそこにはまった感じですね。


特に娯楽映画はノリが許されるので、その初期衝動的なものがすごくいい方に働くんです。『ナイトフラワー』みたいな映画はすごく計算しないといけないけれど、『スペシャルズ』はそういう空気感で、佐久間くんのキャスティングなども含めて楽しんで作れました。



スペシャルズ
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男子校のノリのような現場

― 『スペシャルズ』の撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?


撮影はめちゃめちゃ楽しかったですね!現場で“グルーヴ”が生まれていくのが映画の面白さだと思うんですが、今回の5人の役者さんがまさにそう。男子校のノリのように、最初はお互い距離があるんだけど、徐々に友達になっていくみたいな。みんなジャンルが違うのによくこんなに仲いいなと思うぐらい、最後はチームワークができていて微笑ましかったです。映画の中の出来事がそのまんま舞台裏で再現された感じで、映画っていいなって思いますね。


―単独初主演の佐久間さんの魅力は?

スペシャルズ

彼に最初に会ったのは『マッチング』のときでした。陽キャでポジティブで面白い。性格も年齢も趣味も全然違うのに不思議とすごく気が合ったんです。僕は、彼個人としての魅力がとても好きだし、芝居の上手下手よりその人の個性を重視するタイプなので、中身を知っているぶん彼の持つ個性を引き出しやすい、というのも魅力のひとつかもしれません。それに潜在的な運動能力も相当高い。アクションの練習をしたことがなくてあれだけできるんですから。


― その他の“デコボコな殺し屋メンバー”は監督が全部当て書きされたのですか?


全員、そうです。小沢さん(村雨役)は以前Vシネマに出ていただいてからのお付き合いで、今回オファーしたときに「まさか踊ったりしないですよね」って。何にも言っていないのにすぐ感づかれて(笑)。以前「合唱をやるヤクザ」という役で歌ってもらったんです。今回のダンスもすごく苦労していて、いつも一人残って端っこで練習されていました。最後の“見せ場”は小沢さんが全部自分でひそかに演出を考えて、何も言わずにいきなり本番でやったんです。ダンスのストレスを全て発散した感じでしたね(笑)。


― 昭和世代には椎名桔平さんのダンスにキュンとしました。


僕は、『ヌードの夜』(1993:石井隆監督)という映画で桔平さんが演じた狂気のチンピラヤクザの芝居が大好きなんです。その、狂犬みたいな桔平さんが踊っていると思うと、撮影中ニヤニヤしてしまいました。本人は不安だったと思いますが、本番前撮影前にきっちり仕上げてくるところは、さすがの役者魂。青柳くんと中本くんはキャスティングスタッフの推薦で、ふたりともアクションが上手い。中本くんは若い頃から韓国で苦労して活動していて、すごくきちんとした真面目でいい人でした。もちろんダンスもめちゃうまい。


 

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―ダンス映画は前から撮ってみたかったのですか?


そうですね。僕のスタート地点は、北野武さんの「ダンス甲子園」(注:「たけしの天才!元気が出るテレビ」1985~1996年まで日本テレビ系列で放送された伝説的なバラエティ番組の人気企画)なんです。あのとき、目の前でダンスを見るのがすごく面白かった経験から、ダンス映画をいつかやりたいなと思っていました。ダンス自体も好きですし、今回も「ダンス甲子園」をすごく参考にしています。


― ご自身はダンスをされないのですか?


絶対やんないですね。 人前に出るのも超苦手です。だから桔平さんの気持ちもわかるんですよ。苦手なものを役者さんにやってもらって皆さんに喜んでいただく、それが監督の醍醐味です。(笑)


― 最後に、今回シカゴで楽しみにされていることを教えてください。


アメリカを代表する大都市のなかでもシカゴへは一度も行ったことがないので、街自体をすごく楽しみにしています。映画祭以外の目的は音楽。ジャズクラブには是非行きたいですね。あとはシカゴの街をランニングしてみたいです。もちろん、今回『スペシャルズ』はアメリカプレミアなので、アメリカの観客のみなさんのノリも楽しみにしています。


― 是非、観客の皆さんと一緒に踊ってください。


絶対に無理です!(笑)





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『スペシャルズ』上映情報 ※内田監督登壇予定!

上映日:4月12日 日曜日

時間:14:30(開場は14:00)

上映場所:AMC NEWCITY 14(1500 N Clybourn Ave c301, Chicago)



 


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映画監督・脚本家:内田英治(うちだ・えいじ)


ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。「週刊プレイボーイ」記者を経て映画監督に。17年伊藤沙莉主演『獣道』がシッチェス国際映画祭など多くの海外映画祭で評価されたのち、NETFLIX「全裸監督」で監督・脚本を担当。その翌年20年に公開された『ミッドナイトスワン』は第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞・最優秀主演男優賞 ほか9部門受賞。イタリア・ウディネ映画祭のコンペティション部門では観客が選出するゴールデン・マルベリー賞を受賞し、海外でも注目を集めるきっかけとなった。また本作の原作小説もベストセラーとなり、イタリア、韓国、台湾でも発売された。片山慎三監督とタッグを組んだ異色作『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』はブリュッセル国際ファンタスティック映画祭ホワイト・レイヴン・アワードを受賞。ポルト国際映画祭でも観客賞を受賞。『獣道』と合わせて世界三大ファンタスティック映画祭での上映となる。その後、22年には阿部寛主演『異動辞令は音楽隊!』が公開。翌年23年には北川景子主演 湊かなえ『落日』で原作ドラマに挑戦し、民放連賞テレビドラマ番組優秀賞を受賞した。24年には山田涼介・浜辺美波共演『サイレントラブ』がタイ50館をはじめアジア各国にて公開されるなど国外上映に力を入れ始める。つづく『マッチング』は興収9億円を超える大ヒットを記録。原作小説も10万部を超えるなど、オリジナルストーリーの可能性を広げる。25年『ナイトフラワー』は日本アカデミー賞、監督賞、脚本賞を受賞。ひとつのジャンルにとらわれず、オリジナルストーリーを用いた幅広い映画作りが特徴である。

 

Born in 1971. Birthplace: Rio de Janeiro, Brazil. Film director and screenwriter.

After working as a reporter for "Weekly Playboy" magazine, he made his screenwriting debut in 1999 with the TV drama Kyoshuujo Monogatari (Driving School Story). Uchida participated as one of the screenwriters/directors for the Netflix original drama series The Naked Director, which was released worldwide in 2019 and became one of the most-talked about shows. His 2021 film Midnight Swan won the Japan Academy Prize for Best Picture and screened at film festivals worldwide. His recent works include Offbeat Cops! (2022), Silent Love (2024), Matching (2024), and Night Flower (2025).

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