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貴重な肉筆浮世絵『ウェストン・コレクション』 シカゴ美術館で公開中 1月27日まで 関連版画展は2月10日まで



 『Painting the Floating World: Ukiyo-e Masterpieces from the Weston Collection 浮世を描く:ウェストン・コレクション 肉筆浮世絵 傑作選』と題された特別展がシカゴ美術館で好評を博している。


 この展覧会はシカゴの実業家ロジャー・ウェストン Roger Weston 氏が25年にわたり収集した肉筆浮世絵150点をアメリカで初めて公開したもの。肉筆浮世絵は版画とは異なり、絵師が紙や絹に直接描いた作品で江戸時代に成立した絵画ジャンル。量産できない一点ものゆえ、それぞれの作品が丁寧に制作されているのが特徴だ。髪の毛が一本づつ毛筆で描かれていたり、着物の柄が細かく塗り分けられたりしており、美しく華やかな彩色も目を引く。


 本展は菱川師宣、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川豊国、水野廬朝、河鍋暁斎などによる美人画を中心に構成されており、2015年に『シカゴ ウェストン・コレクション 肉筆浮世絵 - 美の競艶』というタイトルで大阪市立美術館、信州小布施 北斎館、上野の森美術館を巡回した企画展にさらに作品を加えたものだ。


 17世紀なかばに菱川師宣が確立した「浮世絵」は、18世紀には人口百万を擁し、世界最大級の都市だった江戸をはじめ京都、大阪で生活する人々の闊達な姿を捉えた風俗画である。主題は風景、静物、人物を含めて多岐にわたり、役者や美人を描いたものは人気があった。今回の特別展では吉原の遊郭、歌舞伎、季節の行事を題材にした艶やかな作品群のほか春画も展示している。

 

 元禄年間に制作された菱川師宣の『江戸風俗図巻』では上野で花見に興じる人々の楽しげな姿が描かれている。葛飾北斎の『美人愛猫図』は可愛いとは言いがたい猫を大切に抱える美人の表情と立ち姿が麗しい。歌川豊国 (初代) による『時世粧百姿図』には官女、芸妓、女中など様々な階層の女性達が登場する。踊る骸骨が強烈なインパクトを与えるのは『一休禅師地獄太夫図』。明治時代に入り、河鍋暁斎が一休の弟子となった遊女「地獄太夫」に取組んだもの。


菱川師宣「江戸風俗図巻」(部分) 元禄年間 (1688 - 1704) 頃

Hishikawa Moronobu. Genre Scenes of Edo (detail), 1688/1704

WESTON COLLECTION



葛飾北斎「美人愛猫図」 享和文化年間 (1801 - 18)

Katsushika Hokusai. Woman with a Cat, 1801/18

WESTON COLLECTION


初代歌川豊国「時世粧百姿図」(一部) 文化13年 (1816)

Utagawa Toyokuni. A Painting from One Hundred Looks of Various Women, 1816

WESTON COLLECTION



河鍋暁斎「一休禅師地獄太夫図」 明治18 - 22年 (1885 - 89)

Kawanabe Kyosai. Hell Courtesan, 1885/89

WESTON COLLECTION


 特筆すべきは水野廬朝の『見立三酸図』。東洋画の画題で使う『三聖吸酸図』 (儒教、道教、仏教を代表する三人の師が酢を舐めたところ、みな険しい表情をしたことから三教の一致を表す) から着想を得た作品だ。武家・花魁・商家の女達が瓶に入った酢を舐めているが、実際には酒だったことへの驚きを表している。中央の花魁は浮世絵の美人画には珍しく、真正面から顔が描かれており、本展覧会を代表するイメージになった。

 

水野廬朝「見立三酸図」 文化13年 (1816)

Mizuno Rocho. Three Vinegar Tasters, 1816

WESTON COLLECTION



 展示会場では日本髪を結う模様を記録したビデオも上映され、浮世絵を中心に江戸時代に花開いた日本独自の文化を紹介する側面もある。本展覧会を企画し、目録 (展覧会カタログ) を編集したジャニス・キャッツ Janice Katz 学芸員は準備に5年以上を要したという。

 特別展は2019年1月27日に終了するが関連する版画展は2月10日まで開催される。



The Art Institute of Chicago

111 S. Michigan Avenue, Chicago, IL 60603

312 - 443 - 3600

http://www.artic.edu

”Painting the Floating the World: Ukiyo-e Masterpieces from the Weston Collection”

AIC Regenstein Hall

(Through January 27, 2019)

https://www.artic.edu/exhibitions/2823/painting-the-floating-world-ukiyo-e-masterpieces-from-the-weston-collection

"Two Floating Worlds"

AIC Gallery 107

(Through February 10, 2019)

https://www.artic.edu/exhibitions/9168/two-floating-worlds

毎日 10: 30 - 17: 00 木曜のみ 20: 00 まで

一般 $25 シニア・学生 $19 14歳未満は無料

シカゴ市在住者 一般 $20 シニア・学生 $14

イリノイ州在住者 一般 $22 シニア・学生 $16

木曜17時から20時までイリノイ州在住者は入館無料。

(身分証明を提示すること)


参考:

馬場邦子『シカゴウェストンコレクション肉筆浮世絵が日本初公開!- 美の競艶 - 上野の森美術館で美人画展覧会開催中』(US Shimbun 2015年12月)

http://usshimbun.com/column/Baba2/Baba2-7.html


上野の森美術館『肉筆浮世絵 - 美の競艶』(2015年11月)

http://www.ueno-mori.org/exhibitions/article.cgi?id=137


大阪市立美術館『肉筆浮世絵 - 美の競艶』(2015年4月)

https://www.osaka-art-museum.jp/sp_evt/ukiyoe




   文責:斉藤博子 Text by Hiroko Saito





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