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  • 執筆者の写真Chicago Samurai

2022年 第58回シカゴ国際映画祭 注目の日本映画3本『PLAN 75』、『ベイビー・ブローカー』、『シン・ウルトラマン』

 第58回シカゴ国際映画祭が10月12日に開幕、23日まで開催される。同映画祭は1964年に創設され、国際コンペティション (審査) 部門を持つ映画祭として北アメリカで最も古い歴史を持つ。およそ2週間にわたり上映される作品はシカゴで初公開となるものばかりで、毎年5万人以上が劇場を訪れる。  今年は54カ国から厳選された長編90本と短編60本を3カ所の劇場で上映、オンラインで鑑賞できる作品もある。日本映画3本は10月14日から23日にかけてメイン上映館となる AMC River East 21 で公開される。


 『PLAN 75』は新人監督コンペティション部門、『ベイビー・ブローカー』は有名監督が参加するスポットライト部門、『シン・ウルトラマン』はホラー作品が多いアフター・ダーク部門で上映される。


シカゴ国際映画祭 http://www.chicagofilmfestival.com ◎料金


○ 劇場 一作につき:一般 $20、シニア・学生・映画祭会員 $17

特別上映:一般 $25、映画祭会員 $22

開会・閉会 上映:一般 $35、映画祭会員 $30

マチネ(平日午後5時前の上映):$13 夜間(毎日午後10時以降の上映):$13

短編プログラム:一般 $17、映画祭会員 $14

ドキュメンタリー4回券:一般 $70、映画祭会員 $60

10回券:一般 $180、映画祭会員 $150

20回券:一般 $340、映画祭会員 $280


○ オンライン(バーチャル) 一作につき:一般 $17、映画祭会員 $14

4回券:一般 $60、映画祭会員 $45

短編プログラム:一般 $70、映画祭会員 $60


◎チケット シカゴ国際映画祭チケット 312 - 332 - 3456 http://www.chicagofilmfestival.com/festival/tickets/ ◎会場 AMC River East 21 322 East Illinois Street, Chicago, IL 60611

◎上映スケジュール 


『PLAN 75』PLAN 75





監督:早川千絵 Chie Hayakawa (2022年、112分)


 『PLAN 75』はオムニバス映画『十年 Ten Years』 (監修・是枝裕和、2018年) の一部として早川千絵監督が発表した短編を、監督自身が脚本を執筆し、長編にしたもの。


 近未来の日本。少子高齢化が進み、75歳以上が自らの生死を選択できる制度「プラン75」が施行された。78歳で身寄りのないミチ (倍賞千恵子) は仕事を失い、「プラン75」を申請することを考える。市役所の担当者ヒロム (磯村勇斗) やサポートする職員の遙子 (河合優実) はミチとの交流を経て、この制度に疑問を持つようになる。


 本作は今年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門でカメラドール特別表彰を受けた。日本では6月の公開以来、評判を呼んでおり、現在も各地の映画館で上映中。


 早川監督は1990年代に School of Visual Arts (New York) で写真を専攻し、独学で映像作品を制作してきたという。今回の映画祭では劇場で舞台挨拶を行う。


10月14日(金)5: 30 PM 早川監督の舞台挨拶あり  10月15日(土)12: 00 PM 早川監督の舞台挨拶あり

 


『ベイビー・ブローカー』Broker




監督:是枝裕和 Hirokazu Kore-eda(2022年、129分)


 『万引き家族』(2018年) で同年のカンヌ映画祭パルム・ドール (最高賞) を獲得した是枝裕和監督による最新作だ。今回は韓国映画としての参加であり、英語字幕はあるが日本語字幕はない。


 本作は是枝監督によるオリジナル脚本に韓国の映画界を代表する俳優陣が応えたロードムービー。


 クリーニング店を営む中年男性サンヒョン (ソン・ガンホ) と赤ちゃんポストのある施設で働く青年ドンス (カン・ドンウォン) 。二人には、子供のいない夫婦に赤ちゃんを斡旋して大金を得る「ベイビーブローカー」という裏稼業があった。赤ちゃんポストに自分の子供を一度は預けたものの、取り返しに現れた若い女性ソヨン (イ・ジウン) を交えて、三人は養父母探しの旅に出る。一方、二人を現行犯で逮捕すべく、二名の女性刑事スジン (ペ・ドゥナ) とイ (イ・ジュヨン) も尾行を始めた。


 是枝監督の劇場映画デビュー作となった『幻の光』(1995年) は同年の第31回シカゴ国際映画祭で最高賞にあたるゴールド・ヒューゴー賞を受賞した。以来、是枝監督の新作はシカゴ国際映画祭で必ず上映されている。

 

10月21日(金)8: 00 PM 


『シン・ウルトラマン』Shin Ultraman




監督:樋口真嗣 Shinji Higuchi(2022年、113分)

公式サイト:https://shin-ultraman.jp


 1966年に特撮ドラマとしてテレビに登場して以来、日本を代表する巨大ヒーローとなった「ウルトラマン」。本作はウルトラシリーズに多大な影響を受け、日本の映像界を牽引するようになったクリエーター達が制作した。企画と脚本は庵野秀明、監督は樋口真嗣。 (2016年の『シン・ゴジラ』では総監督と脚本を庵野、監督と特技監督を樋口が担当し、大成功を収めた。)


 本作は舞台を現代に設定し、テレビドラマの世界観を再生したもの。令和の日本では不気味な巨大生物「禍威獣 (カイジュウ)」が日常的に現れる。通常兵器が役に立たないため、政府は「禍威獣特設対策室先専従班」、通称「禍特対 (カトクタイ)」を設立。班長の田村 (西島秀俊) や担当官の神永 (斎藤工) が任務に当たるなか、大気圏外から銀色の巨人が出現する。


 注目すべきはウルトラマンを生み出した美術家、成田享によるデザインを正確にコンピュータ・グラフィックスで再現したウルトラマンの姿だ。1966年のテレビ版では俳優、古谷敏がスーツ・アクターとしてウルトラマンに命を吹き込んだことが知られている。


 シカゴ国際映画祭ではテレビ版のウルトラマンを2話、映画の前に特別上映する。『シン・ウルトラマン』と関わりが深いエピソードばかりだ。

  

10月15日(土)9: 00 PM

先行上映 『ウルトラマン』Ultraman(1966年、50分)

18話「遊星から来た兄弟」ザラブ星人

27話「怪獣殿下 後編」ゴモラ 

  10月23日(日)11: 00 AM 

先行上映 『ウルトラマン』Ultraman(1966年、50分)

28話「人間標本5・6」ダダ星人

34話「空の贈り物」スカイドン

(文責:斉藤博子 Text by Hiroko Saito )




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